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【絵本セレクション2019】

2019/12/31 Tue 09:43

今年もレビューを振り返って10冊選んでみました。

①の:junaida→絵の中へ中へと没入できる快楽


②コレットのにげたインコ:イザベル アルスノー→インコ探しの結末が微笑ましい


③うるさく、しずかに、ひそひそと:ロマナ ロマニーシ/ンドリー レシヴ→グラフィカルな画面が目に響く


④めを とじて みえるのは:マック・バーネット/イザベル・アルスノー→子どもの素朴な疑問への神回答


⑤うっかりおじさん:エマ ヴィルケ:朔北社→読者視点でボケとつっこみ


⑥へいわとせんそう:Noritake/たにかわ しゅんたろう:ブロンズ新社→見開き左右での対比が劇的


⑦ころべばいいのに:ヨシタケシンスケ:ブロンズ新社→哲学的迷宮を軽やかに散策


⑧トイレロケット:はっとり ひろき:講談社→人類の習慣が男の子の大冒険へ


⑨水の絵本:荒井 良二/長田 弘:講談社→詩と絵が協奏する心地よさ


⑩ちびねこのチュチュと、スプーンのあかちゃん:二宮 由紀子/牧野 千穂→パステル画の世界が魔法的


総括----------------------------------------------------
いわゆる絵本として魅力的な作品はたくさん出会ったのですが、
その中でも個人的に魅力を感じたのは、本を読むという行為を
超えた世界へ連れていってくれる作品でした。
例えば①ではシンプルな構成ながらもページをひらく度に
イメージの旅ができる奥深さと自由があり、⑤では着替えをする
おじさんとの掛け合いがインタラクティブで楽しめました。
⑦は、もはやヨシタケシンスケというカテゴリーですね。

選書の中では⑩にしか登場しませんが、今年はネコの絵本を多く
見かけた印象があります。それも単に可愛いだけでなく、
一癖二癖ありそうなヤツが増殖しているようです。
SNSでの投稿でもネコ系ネタが秒速で♥いいねされているし、
このまま行くと、十二支の中にもネコが入り込んでしまうの
ではないだろうかと本気で心配してます。
苦情によって除夜の鐘が中止にされる世の中ですから。
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国境や文化を超えて生まれた絵本

孫の遊び場になっていた草の茂る広場に除草剤が撒かれた事を知り、
長崎での戦時中の暮らしと原爆投下について語り始めたお婆さんの
心中に胸が痛みます。薬品つながりで毒ガスを連想される方も
いるでしょう。雑草を除去する理由も色々あるでしょうけど、
同じような感覚で人の命が扱われたとは考えたくありません。

本書が伝えてくれるのは、厳しい状況からでも芽を出し育っていく
雑草の命の逞しさ。雑草とひとくくりにしてますけど、草は
それぞれに名前や特徴を持っています。

巻末の編集後記では本書が生まれた経緯が紹介されています。
発端はホロコーストを体験したノーベル賞化学者が来日した
ときに高校生に贈った「Look at a weed」で始まる言葉。
そのメッセージがどんどん成長し奇跡的に生まれたのが、
この絵本なのですね。さらに広まっていくことを願います。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
昔、贈り物でいただいた種を鉢で育て、どんな
花が咲くのかと楽しみにしていたら、実は雑草だった・・
なんてことがありました。いつの間にか取って代わって
いたとは! 雑草はあなどれない。
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絵本で絵本探し遊びも

怪物の図書館には、けっこうな絵本がそろえてありますね。

バムとケロ、たいようオルガン、スノーマン、エルマーと16ぴきのりゅう、
ごろごろ にゃーん、エリック、ビロードのうさぎ、つきのぼうや、
あおくんときいろちゃん、ちいさいおうち、あさになったのでまどをあけますよ、
もじゃもじゃペーター、ちいさなうさこちゃん、はらぺこあおむし、水の生きもの、
ひとつずつ、えほんのこども、アライバル、よるくま、カルガモゆうらんせん・・・・

他にも、この表紙は見かけたことあるんだけど、ん〜何だっけな?
という絵本も多数あり、ついつい見入ってしまいました。
画面に自分の知っているものを発見すると嬉しくなるので。

本だけでなく、愛らしくて個性豊かな怪物たちや不思議な館内の
様子なども丁寧に描きこまれていて、その吸引力も怪物級です。
その意味では、本を探す楽しさ、本を通した出会いの喜びを
本そのもので具現化した作品といえます。

と書きつつ、再び絵本をみてしまう自分。
カバーの折返しでウサギの見ている絵本が気になるぅ。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
昨日は部屋の整理。震災の後、とりあえず箱に入れてた
本を発掘、やっと本棚へ収まる。
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へぇ〜すごい!

品揃えもさることながら、この洋品店の一番の売りは試着室
なのではないでしょうか。特殊機能を備えた手袋や靴や水着などを、
ちょっとした冒険のごとく試せる環境を用意してあるのですから。

もはや洋品店というより遊園地ですね。これは行ってみたい。
でもこんな物を売っちゃって悪用されたらどうするんだ?
値段が安すぎるのでは? と言うより、この店長はドラえもんか? 
商品はひみつ道具で、試着室はどこでもドアみたいだし・・・

なんて事を心配するほどリアリティのある絵がいいです。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
部屋を片付けると、いいアイデアが降りてくる
ような気がしている。
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視覚の世界に触れてみる


見ることについてグラフィカルに解説してくれるウクライナ生まれの絵本。
音の世界について図解した「うるさく、しずかに、ひそひそと」の姉妹編に
なっているだけあって、無からのビッグバンから始まるところは共通です。

取上げられている内容は様々で、視力をサポートする道具や錯視やシンボル、
美術や動物の見ている世界、さらには見ることについてだけではなく、
目に見えないものの存在や、視覚を補う点字にまで及んでいます。
「I SEE THAT」を「目 で見て かんじて」と翻訳し、
字数を揃えて英題の文字組を活かした心遣いもいいいですね。

見ることについての視野を広げてくれる視育絵本とも言えます。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
この場合の“かんじて”は、“観じて”となるのでしょうね。
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相手がいるから自分もいる

鉛筆と消しゴムの文房具キャラによるコントのような絵本。
舞台は白い紙の上、序盤はそこをどちらが制覇するかというような
展開で、汚れを消してきれいになったかと思えば、そこへ落書き
したり、またまたそれを消したりが繰り返されます。

それぞれ道具なんだけど、そこに深い人間味が感じられますね。
彼らに目鼻や手足がついてるからではなく、鉛筆が描いた線や、
消しゴムの消した跡が実に生々しいからです。そりゃそうでしょう、
絵本の白い紙そのものが、彼らの直接触れている世界なんだから。

しかも描いたり消したりする展開で怪物が登場したり宇宙旅行に
出かけたりと物語になっているところもポイントです。
これって絵本になるんじゃない? なんて、ふと思いましたが、
この作品がそうでした! ハハハ。

文房具キャラの絵本で印象に残っているのは、
「かきたいな かきたいな:井上 コトリ」
「文房具のやすみじかん:土橋 正/小池 壮太」
どちらもおすすめですよ。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
チョークと黒板消しも同じような関係ですけど、
この場合、減っていくのはチョークだけなので、そこに
は別のドラマが生まれそうだなぁ。
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何だ!このタイトルと表紙は???

物と言葉の関係を再構成してしまうことで、我々の常識を
支えている土台がグラつかされる絵本です。
角張ったボールの他にも、鼻の長い犬や四輪の自転車や緑の
皮膚のお姫様や色白のモンスターなどが紹介されます。
しかも、それらがお互いに関わり合ってくるのです。
なので、モンスターがお姫様を脅かすという文章を
描いた絵を見ると、始めは頭がクラっとなるでしょう。
しかし、そんな場面が次々に展開されていくと、だんだん
常識のネジがゆるんできて、顔がニヤけてしまいました。
幼児絵本のようなシンプルな文と絵も効いてますね。
頭の柔軟体操にもおすすめです。

ということで、本日のレビューは、冷えたカップを
白いコーヒーで味わいながら書きました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
昨日は熊本ミステリー読書会。課題本の「ミザリー」を
ホラーではなく、ポールの成長物語と解釈された方が
いて新鮮でした。
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わごむでなごむ

個人的には輪ゴムって嫌いです。触るのも見るのも嫌で、
特に食べ物の近くにあるだけで食欲が失せてきます。
道具としての便利さは否定しませんが、感覚的にはどうも
受け入れがたいのです。ヨシタケさんの絵本は好きですが、
タイトルに「わごむ」とあるだけで、手に取るのも控えていた
くらい。しかし・・・そんなボクでも本作はお勧めです。

輪ゴムをみつけて自分のものにした女の子から、ここまで
発想を広げて、考察まで深めていくとは、さすがです!
他人にとってはガラクタでも自分にとっては宝物になる。
誰もが子どもの頃に持っていた、そんな価値観を
再び思い出して愛おしい気持ちになれますよ。

「だからみんないつもなにかをさがしているんだわ」
という一文に、ハッとされられました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
本質は単純な言葉の中に宿っている。
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自由奔放な画面へ飛び込め

これは絶対に絵本を作る側が楽しんじゃってるでしょうね。
ペンに色鉛筆に絵の具など色々な画材を気ままに使って、
描いたものを切ったり貼ったり組合せたり。フリースタイルな
線と色が画面の隅々まで乱舞しまくってます。画材店を
貸し切りにして、絵の好きな子どもが自由に遊んでたら
できた絵。と言われても素直に納得してしまうレベルです!
線がハミ出ようとも、形が歪もうとも、全てが味になってる。
絵を描くときに、通常は失敗とされるものが、ここには
全く存在しないのだな。そんな楽しさと開放感がページを
めくる度に伝わってきました。

ストーリー展開は「三匹のヤギのがらがらどん」をベースに
しているので分かりやすく、絵が絵なので、恐ろしいトロルが
登場しても安心して見ていられました。

お店の看板などの文字を、ちゃんと絵のタッチに
馴染ませて日本語に置き換えた技も見事。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
さあ、今日は読書会の課題図書「ミザリー」を読むぞ。
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恐竜が身近に感じられます


切り口がユニークな恐竜の生態紹介絵本です。舞台となっているのは
恐竜が生きていた世界ではなく、今私達が暮らしている世界。
動物園の動物のごとく、ごくごく自然に飼われているという
想定で、ステゴザウルスの一日の世話をする様子が描かれています。

といっても、そこは巨大な恐竜のこと。簡単にはいきませんね。
建屋の大きさや食べ物の量だけでも、そのスケールに圧倒され、
ゾウやキリンでさえも可愛くみえてしまします。各見開きの
右端には、最新の科学的解説もあり、飼育を手伝う子どもらの
体験を追いつつ、知的好奇心も満たされていきますよ。

特徴的な体のひとつひとつに、生きていくための意味があることが
伝わってきて、時代は違えども、同じ地球に生きる仲間だという
親しみも湧いてきました。シリーズ化して他の恐竜の紹介版も
みてみたいですね。例えば怖そうなティラノザウルスとか。

関連する絵本では動物を自宅で飼うとしたらどうなるかを描いた
「たのしいキリンのかいかた:齋藤 勝/田川 秀樹」
もおすすめです。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今日は今年最後の警固塾。今朝やっとラフができた。
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