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絆の赤い糸

手袋はもちろん、靴下、サンダル、など2つでひとつの
ものが、別れ別れになって再会するするという絵本は
たくさんあります。最初はそんな話のひとつかなと
思っていましたが、本作はちょっと違いました。

雪の日に道路に落ちてしまった赤い手袋。片方を探しに
行こうと決意して立ち上がったら、人々で賑わっていた
クリスマスの町の様子が一変し、ハッとなりました。
これは手袋の心象風景なのか? そして片方を失った
手袋は我々自身でもあったのか? 
ハッピーエンドを期待すると裏切られるかもしれません。
別れを受け入れる物語になっているので。
最後の一文が胸に突き刺さりました。

雪と共に優しさまでも降り積もっていくかのような
パステルタッチの画面も味わい深いです。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
先週はフルで在宅勤務。外出着になってモニターを
セッティングすることで仕事スイッチを入れる。
ちょっとでも環境を変えないと公私の切り替えが
あいまいになってしまうので。
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こたつ劇場

こたつと言えば、家族でみかんを食べながら
大晦日の紅白歌合戦を見る。これぞ我が家の、
と言うか日本人の典型的定番シーンですよね。
いちど入ると出るのがめんどうになり、食後に横に
なってうたた寝してしまう。これが気持ちいい!
テレビの正面になるところが上座で、そこはいつも
お婆ちゃんが居たなぁ。暖かい作業机として、
お年玉で買ったプラモデルを作ったり、読書にも
集中できたり、父と将棋を指す場所でもあった。

この絵本をよむと様々な思い出が蘇ってきます。
こたつは冬に家族が集う舞台であり休憩所であり
食堂であり遊び場でもあったのですね。本作は
定点観測的に真上から描いた構図がユニーク。
家族の頭上しか描かれてないけれど、会話や仕草
から表情が豊かに伝わってきます。
台を彷彿させる正方形の造本もいいですね。
一家に一冊、心の暖房にもおすすめです。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
鍋の中身が変わる様子だけを定点観測しても
物語になるかもしれない。
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見えることで見えなくなるもの

発想が幼稚で視野の狭い者が王様になったことで、
国民が混乱してしまうという寓話的な絵本。

特に王様のお達しを実現するために側近たちがとった
世間の情報操作や取締りといった施策が生々しい。
イラストが可愛らしいので、ユーモラスな話として
素直に受け止めたいですが、コロナ渦の今よむと
背筋が寒くなりました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
在宅勤務が続いたので土日の感覚が薄れている。
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実在しますニャー

絵本の後に知ったのですが、尾道の「ネコノテパン工場」が
元になっているのですね。ここは古民家風の小さな店舗で、
細い路地の町並みまでふくめ、民話や童話の世界に出て
きそうな雰囲気のお店。この絵本を読んだ後で行けば
物語の世界へ入り込んだ気分になれるかも。

周囲には猫も多いとのことなので、猫のフリをして
お店を訪れてみようかな、霧の日に。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
面白い言葉を思いついたとき、試しにネットで検索してみると
既に店や商品の名称になっていたりすることが多い。
「猫の手○○」というのも沢山あることは確認するまでもない。
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怪物園:junaida:福音館書店

2021/01/17 Sun 06:43



迷走の先で交わる空想と現実

空想の世界の住人である怪物たちが怪物園から
外に出てしまい現実の世界を闊歩する。家中に篭もった
子どもらは、ダンボール箱を乗り物にみたてて
空想の世界に旅立つ。みたて遊びの絵本はたくさん
ありますが、外の世界の恐怖とリンクさせたことで
コロナ禍の比喩として共感しました。

今、我々が直面している事態が、ふと物語の中の
出来事のように感じてしまうことがあります。
真剣に対策を講じようとすればするほど、それが
風刺物語のように滑稽な展開になってしまうので。

絵本の中で子どもたちは、空想と現実の交わる
場所へたどり着きます。つまり怪物たちと直面するのだ。
迷走していたのは我々だけではなかったのですね。
世界を救ったのは子どもの純心。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
第三波と共に空想世界のレイヤーも重層的になってきた。
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初牛

一牛二鷹三茄子 と言うように牛は縁起の良いもので、
一度は牛への登山を夢見るかたも多いのではないでしょうか。
そんな人気スポットが美しいイラストで紹介されている
のがこの絵本です。登り方のコツや、頂上の様子など
とても分かり易かったです。意外と軽装で済むし、
上で食事もできるとは知りませんでした。世の中が
落ち着いたら、牛に登ってみようと思います。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
キャンプやバーベキューなども楽しめそう。
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密ですが在宅の時間つぶしにも

ウォーホルさん、群衆の中でも結構目立っちゃってますね。
探すのはウォーリーほど難しくはないです。何故かというと
他にもけっこう有名人やら変な人達が大勢いて、ついつい
隅々までチェックしまい、ついでに金髪&黒いサングラスの
ウォーホルにも出会うので。
舞台となっているのは現代のみならず時空をまたいで、
美術史に関連した12の場面。なのだそうですが、
中にはマリー・アントワネットの処刑や柔道家であふれる
武道館などどうして?という場面まであります。一応
巻末には丁寧な解説があり納得。確かにウォーホルと
関係ないシーンもありますが、むしろアートへの興味が
膨らむ絵本として楽しめました。
全シーンに登場する、お掃除おばさんは謎のままでした。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
寒い〜〜〜〜熊本は今日も雪がふるのだろうか?
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あま〜いだけじゃない

棚からぼた餅というけれど、空からホットケーキが
落ちてくるとは、しかも超巨大サイズ! 家より
大きくて驚きもビッグです。ぼふーんという音がいかにも。
でも絵本の世界ならば充分ありうることです。
もしも本当にそんな事があったらどうするか?
食べるだけじゃ物足りない。中に入って、あまーい
においに包まれながら、ふかふかほかほかを体中で
味わっちゃいましょう。でも、本当にそれでいいの?

実は、するどい問題提起をしている絵本。
犬の視線が気になりました。
同作者の「でっこりぼっこり」と併せて読まれたし。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
大きすぎて、かえって見えないものもある。
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裸でぐりぐりを感じる


ぐりぐりというのは、ぬるぬるした魚の中に渦巻く命の躍動。
作者がはるか少年時代に素手でつかみ取ったものだ。
その手が80歳になって太い筆を握りしめ、画用紙の上で
躍動して生まれたのがこの絵本なのですね。

先日TV(日曜美術館)で放映された制作風景が圧巻でした。
筆は田島さんの体の一部となり、画用紙の上には絵の具という
画材を超えた何かがほとばしっている。描くと言うより、
色水の中を泳いでいるようで、見ていて気持ちよかった。

この絵本の制作は少年時代から始まっている。そして
長い間ずーっと、体の中に生き続けたものが溢れ出た。
田島さんの若さと穏やかな笑顔も印象的でした。
こんなふうに歳を取りたいです。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今日は正月連休の最終日。さて、何をしようか。
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弓矢→ 川 ←拳銃

見開きの左側に弓矢をつがえるインディアン、右側には
拳銃を構えるカウボーイが川をはさんで相対する。
という緊迫した状況が判明するまでに10もの見開きを
使ってタメをつくるとは、なんとも贅沢な展開。

ギラつく太陽〜荒涼とした大地〜頭蓋骨にからみつく
毒蛇。死の予感を伴いつつ、両者の足元〜手元〜
相手をにらむ顔のアップ。巧みなカメラワークにより高まる
緊張感。永遠に続くかのような静寂は何かが1mmでも動いた
瞬間に破壊されるだろう。覚悟を決めてページをめくると、

えっ??? こうきたか!

決闘映画の定番的演出を巧みに取り入れ、緊張と緩和の
心のストレッチができる作品でした。本気で対決した者
同士の心に灯された熱き炎は、太陽が沈んでも消えない。
準主演のサム・ペキンダックの演技に感銘しました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
本気でフザケるっていいね。これは作ってるほうが楽しい。
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