水がすきじゃなかったアヒル:スティーブ・スモール:化学同人
2021/03/21 Sun 06:58
こうしてアヒルは水を受け入れた
水鳥なのに徹底的に水を避けるアヒルが登場。
これはユニークな個性とか多様な価値観を比喩、あるいは
男なのに〇〇とか女なのに〇〇といったレッテル付けへの
抵抗を意味しているのか。読み出しから色々な事を考えて
しまった。ひとりで生きる分には、水を避けまくっても
問題ないけれど、その事でもっと大事な何かを失うと
したら。それが水の好きなカエルとの友情だったら。
ラストシーンではアヒルの価値観の変化が絶妙に
描かれています。文と絵の掛け合わせ、これぞ絵本
ならではの味わいです。ビーバーもいい仕事したね。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
最近は小学校で「君」づけや「ちゃん」づけをやめて
「さん」で統一するようにしているとか。
そのうち女の子用の鯉のぼりや男の子用の雛飾りが
登場するかも。なんて思い、ふとチェックしてみたら
既にスターウォーズの雛壇があった。
うろおぼえ一家のおかいもの:出口かずみ:理論社
2021/03/20 Sat 06:13
え〜っと 何を書こうとしてたっけ?
落語で、お使いを頼まれたうっかり者が、道中で
いろいろなハプニングに出会って勘違いをやらかして
しまうというパターンを彷彿させる内容ですが、
アヒル家族の愛らしさが、癒やし成分となり
絵本としてほのぼのと楽しめました。
しかし、うろ覚えもここまで徹底されると、
もはやひとつの才能ですね。うろ覚えの迷走も
ぐるりと回って結果オーライ。当初の目的から
逸脱したことに誰も気づかないし。こればかりは
AIがどれだけ進化しても真似できないな。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
在宅勤務が続くと、たまに職場へ出勤することが
出張に近くなってくる。忘れ物がないよう
前日にチェックしたりとか。
おおきなキャンドル 馬車にのせ:たむらしげる:偕成社
2021/03/14 Sun 07:18
スイーツな祈り
たむらさんの世界でおなじみのロボットくんですが、
金属製から木製に変わっていることに、軽い衝撃を
受けました。最近は燃えない木などが開発されて、
建材に使われたりします。なので、脱プラ・脱炭素社会、
SDGsへの取組みの先には、木製のロボットが登場
するのかもしれません。ついでに言及すると
空とぶバイクも木製でした。流線型でなく朴訥な
スタイルで、エンジンらしきものは見当たりません。
といってもトラックや機関車や金属製の重機も登場
するので燃料や材料に関しての世界観は過渡期なのか。
資源の問題についての解決手段としてSFでは
人間を縮小してしまうという発想もあります。
(ウルトラQ:1/8計画、映画:ダウンサイズ)
そうなるとイチゴ畑は巨大な森になり、イチゴを
そのままの形で使ったケーキを作ろうとすると
一大イベントとなります。絵本では、子どもたちの
未来を称える祝祭として描かれていますね。
時節柄、ケーキの頂上に立てられた一本のろうそくに
災害からの復興という願いを結びつけてしまいました。
なんだかんだと小難しいことを考えてしまいましたが、
みんなで協力して作り上げたお菓子はうまいのである。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
こんな今だからこそ外出逃避したくなる。
アパートのひとたち:エイナット・ツァルファティ: 光村教育図書
2021/03/13 Sat 06:56
開けたのは空想のドア
アパートのドアといえば、みんな同じ見た目で違いは
部屋番号の表示のみ。シンプルなものである。
最近は防犯を意識してか、表札さえ付けてない。
昔、学生寮に入っていた頃は、各々がドアに趣向を
凝らしていて、どんな住人かを想像する手がかりに
なりました。名前と学部を示す表札に加えて、
外出or不在の表示や、来訪者用のホワイトボードが
あったり、暗号的なメッセージがあったり・・・
部屋番号以外は手作りなので、そこから学生たちの
個性が滲み出てました。
しかしながら、この絵本のように、鍵だらけのドア
なんてものはありませんでしたけどね。中にいるのは
どんな家族?女の子は想像します。きっと○○○だと。
彼女の住む7階へ階段を登っていくまでに6つの
奇妙なドアに出くわします。その度に女の子は中の
様子を空想します。ボクもページをめくる前に
空想してみました。でも彼女の空想はそのはるか上を
いってる! 本当のところはわかりません。
実際には開けないのですから。
最後は自分の家のドアに。普通のドアです。
そしてパパやママも普通です。フフフ
彼女の部屋の中には空想の元ネタと思われる
ものがいっぱい。なるほど納得。将来は宇宙的に活躍
する絵本作家の道に進むと思われます。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
最近の休日はランチ用に美味しいパンを買ってきて、
読書に没頭するというパターンが多い。
今日のメニューは「ブロードキャスト:湊かなえ」
もしかして…:クリス・ホートン:ビーエル出版
2021/03/07 Sun 07:29
ファッションショーのようなコント
クリス・ホートンは目の保養系絵本作家のひとり。
今回もオシャレカラーの画面を堪能できました。
話は3匹の小猿たちのコミカルな冒険なんですけどね。
食欲をおさえきれず、もしかして・・・という
自己正当化の繰返しで危険な場所に近づく小猿たち。
この内容をお笑い系タッチの作家が描くと、違った
印象になり、読み聞かせでもウケるのでしょうが、
彼が描くとそうならない。なぜならば口元がクスッっ
となる0.1秒前に目がオオッきれい!と反応して
しまうからだ。グリーンの顔をした猿たちが映える
赤や紫の階調で描かれたジャングルは正に
クリス・ホートンワールド。冷静に考えると、実は
我々人間たちの愚かな行動を風刺する内容とも
受け止められるのですが(今で言うと、ちょっと
だけなら会食したり旅行しても問題ないよねとか)。
そんな警告の前に・・・この世の中は色の力で
美しくなるというメッセージが優ってしまう
ところが、良くも悪くも彼の絵本の魅力と言えます。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
ちょうど一年前は映画「復活の日」のような
ウィルスパニック系の作品を色々観ていた。
そして在宅ワークが当然になるとは想像していな
かった。一年後は何してるんだろう?
せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子:キース ネグレー:光村教育図書
2021/03/06 Sat 08:40
当たり前という壁
「人間って、当たり前だと 思っていたことが
変わってしまうのが 怖いんだよ」
という作中に出てきた言葉が気になりました。
メアリーが生まれた1832年当時は女性がスカートを
はくことが当たり前だったようで、そんな時代に初めて
ズボンを身につける心境はどんなものだったのだろう。
異端者、反社会的、非常識、といった非難にさらされて
なおも、メアリーが身につけていたのは、単なるズボンで
はなく、自分の生き方をつらぬくという信念だったのですね。
服としての機能的な面から見れば、スカートからズボンに
変わることで、より行動範囲がひろがりました。
また意味的な面では女性、男性という性別の垣根を越えて
一人の人間という存在が立ち上がってきました。
ひいては生き方までも自由になり、人としての権利や
仕事で活躍する機会も広がることにつながった。
我々は普段、身につける物に、どれだけ影響を受けているかを、
もっと認識したほうが良いかもしれない。なぜなら何を
着るかは、どんな考え方をまとっているかに通じるから。
今、我々の行動や考え方を縛っているものは何だろうか?
それに気付いて、変えてみる勇気が、新しいものを生み出し、
生きている世界を広げるきっかけになる。
ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
肌色という表記がクレヨンや色鉛筆から消えるようになった。
これも認識の仕方ひとつで世界が変わる一例。
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