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こっちゃこい♡ 

元は英語の作品なのですが、山形弁に翻訳されると
日本昔話的な風味になり、とても親しみやすくなってますね。
というか、これは最初から日本生まれの絵本といっても
全く問題ないくらい、言葉と物語が馴染んじゃってます。

お腹のすいた狼が、穴の中に引きこもっている動物を
巧みに誘い出そうとするスリリングな会話も、
山形弁になることで、ほのぼのとした雰囲気に。
原作のもつ腹黒いユーモアが、日本人の体の奥底まで
染み込んできますよ。

訳したのは、ダニエル・カールさん。
英語・ドイツ語に加え、山形弁も堪能だからこそ、
言葉の魅力を最大限に引き出せたのだと納得です。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
戯れに文字の順番を入れ替えてみた。
・ちゃこちいやつ:落ち着きがなさそう
・ちこちゃいやつ:ちいさなチコちゃん?
・ちゃちこいやつ:ちょっと賢い
なんてニュアンスを感じました。

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デリバリ伝説

加藤休ミさんの絵本なので、見せ場はクレヨンで描いた
美味しそうな食べ物のアップだろうことは想像できる。
後は極め技(食べ物)のシーンまで、どう導くかが
ポイントになるのですが、この作品はブットンでます。

デリバリーぶたがどのようにオーダーを受けるのか、
誰に、どこに、いつ、どうやって配達するのかが、
絵本的なスパイスとなってますね。空想的な設定と
超リアルな食べ物の組合せが絶妙です。
あ〜っ、こんな時にこんなものが食べられたらなぁ、
なんて欲求が高まったところに、サッソウと現れる
デリバリーぶた。加藤さんの絵本作家として
のスタンスも隠し味として感じられました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今日は何をどんな時に食べようか、と計画する
のは、一日の中でも重要なテーマである。


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話も転がりすぎた?

タイトルがすでに物語の要約になっている!
つまり自分では動けない物と、物を転がすのが得意な者が
出会って海を目指すという話です。どうして海に行きたく
なったのか。道中でのハプニングをどうやって乗り越えたか。
期待していたものを海に見出すことができたのか。
なんてところが見どころといえます。できればフンコロガシ
の足技を徹底して欲しかった。それと石ころならではの活躍
シーンなどあれば良かった。旅を通して石ころに何らかの
変化があれば、物語にもっと深みが出たと思います

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
何かと問題の多いオリンピックですが、とりあえず
開会式は見ることに。それぞれのお国柄が感じられる
入場行進が一番良かった。やっぱり主役は選手。

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岩の時間軸でみた世界は

カバーの作者紹介によると、最初は岩のキャラクターを
思いついたとき、動くことができずじっとしているだけ
なので面白くないと、一度はアイデアを捨てたとのこと。
確かに、もしも自分が岩だったら・・なんて想像してみると、
同じところに居座ったままの退屈な日々の繰り返しを
想像してしまいますよね。分かります。
作中に登場する鳥や虫や樹木も、同じことを岩じいさんに
言います。しかし彼は退屈なんてしていなかった。

どうしてかを岩じいさんは語ります。それは実にスケール
の大きい話です。なんと遥か昔、大地が生まれる頃まで
遡るのですから。それは想像を絶する体験の連続。
逆に、岩じいさんは思っていることでしょう、君たちの
人生はあっという間でつまらなくはないかね、なんて。

読後は岩のように長生きしたら、この先どんな未来が
待ち受けているかと、ワクワクしてしまいました。
地球の歴史について理解を深めるとともに、年長者を敬う
心も高まる絵本です。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
まだまだ人生これから。大いに楽しむぞ。

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あったかもしれない、ありえるかもしれない世界

スタート地点は共通でも、何に価値を見出すかで
その後の未来が大きく変わってしまう様子が俯瞰視点で
描かれた絵本です。壮大な物語の始まりは自然の豊かな
浜辺に上陸した男がそこに住むことを決断したところから。
自然と共生していくか、住宅地として開発するか
の意思決定をするのですが、その2つの意思を同時に
見開きの左右で対比して描いたところが秀逸です。
ページをめくるごとにパラレルワールドの時計は進み、
いつの間にか劇的な変化の差となって提示されます。
しかし、どちらが正しく、どちらが間違ってると
いった描き方はしていません。読み手に考えさせる
余白を残したところに奥深さを感じました。

我々が今いるところ、向かっているところを
見直すきっかけになる作品です。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
ニュースの度に目にする都心を俯瞰した画像。
人間の視点では巨大で強固な建造物も、ちょっと
離れてみると土の上にささった虫ピンのように
見える。そして、ちょっと息を吹きかければ、
吹き飛んでしまいそうな危うさを、ふと感じる。

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コンビニサバイバー

これは、キオスクの出入り口よりも、体が大きくなった
女性店員のオルガが、いかにして外へ出るかを描いた絵本
と思いきや、話は一転します。それならばキオスクが様々な
場所に出没するという展開になるのだな、と想像したら再び
足元を救われた。ハプニングの連続で、話はいったいドコヘ
流れ着くのか? とハラハラしてしまいましたが、なんと、
最後にオルガは夢を叶えてしまった。しかもですよ! 
彼女の愛するキオスクの店舗から一歩も出ずに。

絵本の元になった同名の短編アニメが世界各地の
映画祭で高く評価されているのも納得です。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
朝から外が騒がしい。世の中で何が起ころうとも
起こらずとも、蝉は普通にやってくるのだな・・・

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素材✕料理法の相性は?

身近な物をスタンプとして使い、紙の上にできた形を
何かに見立て、ちょっと手書きを加えて完成させる。
そんな造形遊びを発端とした画面ですが、ちょっと
面白さが伝わりにくく感じられたのが残念です。

スタンプの跡はそのまま使っていますが、その元に
なった文具類は手書きの絵です。これが見立て用に
追加した絵柄と被っている。さらに全て手書きで
描かれた動物まで混在しているので、何をメインに
見せたいのかがボヤケてしまった。

文具類は写真にするとか、後で描き足す線は最小限に
するとか、それぞれの意図が明解になれば、
スタンプの味わいがもっと生きたように思います。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
カミナリがつぶやくように鳴っている朝。
これから怒涛の雨がくるのだろうか。

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展開がタコ足的

タコの八本足がそれぞれに意思をもって活動する
展開になるだろうと、先走って想像してしまいました。

と言うのも作者の二宮さんは、足の親指と小指が
間の指の助けを借りてコミュニケーションする絵本
を書かれていましたし=「だいすき、でも、ひみつ」。
「へびのしっぽ」では、頭部に自分の存在を認めて
もらいたいヘビの尻尾が主人公でした。
いずれも大きなものに所属する小さな存在をフォーカス
したところに子どもも共感できる面白さがあったので、
タコ船長では、それぞれ個性ある8本の脚たちが
タコを盛り立てることを想像した次第です。

そんな方向への兆しはありましたが、どちらかと
言うとタコの一人遊び的な範疇に収まってしまった。
それはそれで良いのですが、だとすれば最後まで
それを徹底して欲しかったです。つまり無理に海の
キャラたちと絡ませるのではなく、裁縫の得意な
タコの部屋の中での出来事としたほうが二宮さんの
持ち味が出たように思いました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
読み込み不調になったDVDプレイヤーを買い替えた。
修理に出すとハードディスクの録画が消去されるし、
それなりに費用と時間がかかるし、もっと性能の
良いものが安く出ているので。同じメーカーのもの
だったので配線を繋ぎ直すだけで済み、リモコンも
操作慣れした同じものが継続して使えた。

  
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月は暑い夜に食べるもの?


夜のマンションの窓越しに見える12もの部屋の様子が
それぞれに生活感があって見入ってしまいました。
ソファーでくつろいだり、テレビをみたり、お茶したり。
家具や小物類から住人の趣味嗜好も伝わってきます。
しかも立体を撮影するという手法で作られている
ところがペク・ヒナさんならでは。

今回はいつものような人形ではなく、紙に描いた絵を
切り取って二次元と三次元の中間的な表現になってる
ところがユニークです。手書きの絵と3Dアニメの
両方を同時に味わっているような感じで、これは
ぜひ絵本を手にとって確認してみてください。

このような世界では月が溶けてシャーベットの材料になった
としても、全く違和感がありません。次元を自由自在に
またいだ想像力が刺激されますよ。

夜空から消えた月を復活させる方法が、これまた風流。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
歯医者の予約日を二週間も勘違いしていることを、
受付に行ってから知らされた朝なのだった・・・
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