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逃げることは近づくことでもある

心理セラピー系の絵本で、タイトルと表紙&裏表紙を
見れば、どんな内容かを察する方もいるでしょう。
しかしそこはヨシタケさん。ユーモラスな絵を交え
あっちこっちの視点から、一歩一歩と誰にでも
伝わるペースで丁寧に語ってくれています。
辛い目にあって、立ち止まったままの心の
進む先をやさしく導いてくれますよ。

想像力の使い方についても考えさせられました。
人は様々な想像をするものですが、中でも他人と
どれだけ共感できるかが大きな意味を持っている
と語られてもいるからです。ひょっとして自分は
箱を被って人と接していないか?
なんてことも、ふと思ってしまいました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
昨日もYoutubeで総裁選のオンライン討論会を視聴。
クセのある質問者が多かったけど、どう回答するかで
4候補の人柄が伝わってきて面白かった。

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ちょとつ&ちょっとひとやすみ

猪突猛進するイノシシが痛快な絵本です。
行く手に何があろうとも、とにかく真っ直ぐ
走り続ける。たとえ体が傷ついても、大きな障害物が
あろうとも、人間の作ったルールなんて関係なし、
ただひたすら走り続ける。しかし、そんなイノシシの
先に待ち受けていたものが・・・これはラスボス?
究極の選択を迫られる羽目に。これは曲がらざるを
えないのかと思いきや、なるほど。
自分の心に真っ直ぐということですね。

関西弁で語るイノシシは意外と柔軟性があって、
ちゃんと体をはった落ちをつけてくれます。
月曜から日曜まで、日記のようにその日の走りっぷり
を紹介する構成も微笑ましいです。

対称的な絵本としてお勧めは「どんどんどんどん:片山健」
こちらは、よちよち歩きの赤ちゃんが登場。
しかし、その歩きっぷりは超破壊的なのです。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
Youtubeで総裁選のオンライン討論会を視聴しました。
質問者は海外在住だったり高校生だったり赤ちゃんを
抱きながらなど様々。正に生の声が発せられていた。

 
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空に月があるかぎり

月の魅力を幻想的に描いた絵本として、美しい画面に見とれて
いたら、とあるシーンに導かれてハッとさせられました。
そのシーンは登場させなくても、おやすみ絵本として充分に
完成度の高いものになったと思いますが、そうはしなかった。
月は、世界中で生を営む全てのものたちを平等に優しく照らす。
小さな生き物にも、草原や海や町にも、そして世界中の
子どもたちの未来に。さらには絶望という闇にまでも。
画面の月からとどく光をあびると深淵な気持ちになります。
眠りかけた優しさと勇気を静かに覚醒させる作品です。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
「ぼくがラーメンたべてるとき:長谷川義史」が生まれた
のは2007年。あれから14年経ちますが世界は相変わらず。

 
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絵本表現の新たなステージへ

人間と共に町で普通に生活や仕事をしている動物たちを
通し、多様性を描いた絵本と受け止めました。
最初はえっ、この花屋はジャングルか、と動揺しましたが
絵本ではそれがあたりまえの事として描かれています。
他のお店についても同じで、本屋、帽子屋、保育園などでも
動物たちが各々の特徴を生かして働いてます。鼻が長いことや
角があることを強調するでもなく、自然な姿として振る舞って
いるところが印象的でした。そしてそれはレストランでも。

ちょっと踏み込んで考えると、動物と食事の関係で直面する、
肉料理をどう扱うかという問題。さらには動物同士の捕食関係を
どう扱うのかという問題も。実を言うと、絵がおしゃれ系タッチの
せいか、その辺りは気になりませんでした。

世の中の価値観が変化する流れの中で、生まれるべくして
生まれた絵本なのではないでしょうか。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
インドでは町中をヤギやウシが自然に行き交い、すれ違った
ときに思わず挨拶しそうになるという体験をしました。

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世界観が拡張されます

百貨店を舞台にした絵本となると膨大な情報量になります。
多くのお客様や数々の商品、レストランやアトラクションなど
一冊の絵本で網羅しようとしたら、大変な手間になる。
ましてやそれが小さな星をまるまる改装して宇宙で営業している
となれば、想像力の限界にいどむようなものではないだろうか。
独特の形をしたUFOで乗り付ける異星人のお客様は曲者揃い。
足が何本もあったり、羽がはえていたり、ロボットのようだったり。
一歩間違うと妖怪やお化けの類になりそうな見た目ですが、
そこはかとなく独自の文化や文明が伝わってきます。
お店や商品も負けじとユニーク。画面は賑やかで、目移りして大変です。
思い返せば幼い頃に初めて母と行った百貨店もこんな印象だったかも。
この品揃えとサービスに満足しないお客さんはいないはず、と思ったら・・・

初のオリジナル絵本にして、豪華絢爛な世界を描ききったのが黒岩さん。
現代美術家として活動されているようで他の作品も気になります。
宇宙ならではの常識を超えた世界を堪能できました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
数年前の映画では普通に登場するマスク無しの人々が密に
なっているシーンですが、ふと違和感を感じたりします。
空想の世界にまでもウイルスが蔓延してきた。

 
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金色の笑い声が目に響く

表紙の絵とタイトルから、おいそれと本を開いては
いけないと予感した。郵便夫を囲む化け物たち、
きししししという笑い声を含むタイトルが暗闇の
なかで異様に輝いている。きっとこれから良く
ないことが起こるのだろう。なので2回目のワクチン
接種を終え、副反応も収まったところで心して本を開いた。

見返しは無地の薄茶色の紙。封書と思わせる作戦なの
だろうが油断してはいけない。さらに進むと、ほらほら
やってきた。魑魅魍魎どもが。それでも実直に業務を
遂行しようとする郵便夫。大きな屋敷の上層階の主に
向かってひたすら進むのですが・・ 

ここまでは大体予想通りだ。流行りの怪談絵本系なのか。
しかし、はたと気づいた。これは心象風景なのではと。
化け物であっても手紙はうれしいのだ。メッセージを
通して気持ちが通じあうことで、お花畑のように晴れ
やかな心になることを強調するため、あえて荒涼殺伐と
した情景を舞台にしているのだろう。
がまくんとかえるくんの「おてがみ」とは違った
角度から同じテーマを描いているのだなと悟った。

スタンプ押しの文章は、一文字一文字に強い思いが
込めらているかのようだ。あなたの心にも一歩一歩
その思いが忍び寄ってきますよ。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
副反応で37.4度の熱が出た。体がだるかったけど
風邪のときほど辛くなかったのが幸い。
ドラッグストアでは冷えピタシートが売り切れてた・・

 
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