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人間やるのも楽じゃないけど

宿題から逃げたい男の子が、誰かかわってくれないかな〜
とつぶやいたことがきっかけで異世界へ迷い込む絵本。
ウルトラQとか世にも奇妙な物語に似たテイストですね。

男の子が迷い込んだ世界は変身地獄と受け止めました。
かわりたい願望はかなえられ、宿題をしなくてもよくなり
ましたが、そのかわり風を起こしたり、ゴミを吸ったり、
重いものを支えたり、難しい計算をしたりと、
人間離れした所業をするはめに。

変身後の姿がリアルで生々しいです。男の子の面影が
そのまま残っていて、本当にきつそう。
逆にいうと、普段我々が使っている道具たちも、実は
誰かと変わりたいなんて思っているかもしれません。
せめて男の子のかわりに宿題をかたづけてくれれば
よかったのですが、扇風機や掃除機には無理か・・・

どうにか元にもどれた男の子。宿題が作文だったら
ネタ作りのいい体験になったかもね。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
昨日はGOOGLEストリートビューにはまってしまった。
懐かしい場所を次々に訪れて旅行気分を楽しみました。
あたりまえと言えばそうですが、当時の風景が激変している。
映画「少年時代」のロケ地だった富山の横山小学校は
もうなくなってしまったのですね。いつか再訪しようと
思っていたのに残念です。

 
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予言の書

ウクライナの作家でこのタイトル。あまりにもタイムリーな
絵本の登場に驚きましたが、原書は2015年の出版と知って
さらに驚きました。当時から不穏な空気を感じ取り警告を
発していたのでしょうか。それにしても・・・

戦争をテーマにした絵本は世界中で数多くあります。
それだけ平和へを求める心や、二度と争いを繰り返して
欲しくないという想いが求められているのでしょう。
本作では、作者の持ち味であるグラフィカルな表現を多用し
生々しさを排しているのが特徴です。活躍する3人も生の人間
ではなく、電球、風船、紙を元に象徴化しているので、
傷ついても血は流れません。逆に人に限らずあらゆる物者が
背負った傷の痛みが伝わってきました。彼らの好きな町や植物が
突然やってきた黒い魔物に崩されていく様子は、戦争の
理不尽さそのもの。

破壊だけでなく、町の皆んなで力を合わせて戦争に立ち向かい、
復興までを描き切ったところに希望の光を感じました。
その意味では本作が真の予言の書となることを願います。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
先日放映された星新一の不思議な不思議な短編ドラマ
「白い服の男」では戦争という概念を人間の思考から
抹消しようと思想統制する世界が描かれてました。
これはこれで恐ろしい。戦争を知ったうえで、平和な
世界を築くことに意味があると思うので。

  
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蓋は美味しさへの扉

この絵本をよんで気づきました。蓋も料理のひとつなのだと。
蓋を取る前に中身を想像し期待を膨らます。僅かな時間かも
しれませんが、それも料理の楽しみのひとつです。

開ける前と後、それを効果的にみせる本のしかけが秀逸。
片側のページが上にめくれるようになっていて、まるで蓋を
開けるがごとく、中身とご対面できる構成になっているのです。
お弁当や茶碗蒸しや重箱などなど、蓋の絵から中身を想像して、
蓋をめくると、期待通りに美味しそうな料理が登場。
食欲を高める演出としての蓋の役割を堪能できました。

それぞれの料理を通して家族の様子が伝わってくるところ
も微笑ましいです。男の子の意外な料理?もいい味わいに。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
何のきっかけか定かでないけど、日常の空気感がかわった。
見慣れた風景が、初めての旅先で出会ったかのごとく
新鮮に感じられたのだ。当たり前にあるものだと普段
見過ごしていたものの、ありがたみを再発見中。
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よく噛んで読みましょう

パンダとパンの組合せは相性がいいので、絵本もいくつか
ありますが、作者によって切り口が違ってるのが面白い。
牛窪さんの描くパンダのパン屋は、本当にありそう。
曜日ごとにパンのテーマを変えたり、セール品やイベント
などを企画したりと、ちゃんと販売計画が練られているぞ。

作る、売る、食べる、それぞれの喜びが感じられるし、
お客さんとの関係や、掲示板を通して間接的に伝わる動物たち
の生活感など隅々まで手の行き届いた描写も素敵です。
画面をよくみると、ちりばめられた伏線がちゃんと回収
されていますね。おとしもの、迷い猫、友達募集などなど。

一見同じにみえる前後の見返しページの小さな変化など、
かくし味も随所に効かせた味わい深い絵本。子パンダたち
の寝姿にもいやされますよ。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
職場カレンダーは月曜までの三連休。
実はノープランなのだ。
一年前はオリンピックの開会式を見てたなぁ。

 

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鳥が鳥になる

まるでスカイダイビングか高飛び込みをするかのような
スリルあふれる縦開きの垂直転回絵本です。
幼い鳥が勇気を出して初めて飛び立つ瞬間に立ち会い
こちらも緊張が高まります。しかし想い通りにはいかず
そのまま落下〜 途中で他の動物たちが、助けようと
しますが、いったいどこまで落ちるんだ・・・

ドキドキ、ハラハラ、ガンバレ、やっぱりダメだ、
と思いきや。一石二鳥ならぬ一落二拾の大逆転に拍手です。

思い返すと何事にも最初の一歩というものがありますよね。
補助輪なしで自転車に乗る、ビート板なしでプールに浮く、
屋根から庭に飛び降りてみるとか。

身体能力が拡張する喜び。若さの特権だな。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
単に飛ぶだけでなく、方向転換、低空飛行、急上昇、
狙ったところに着地、空中で虫をキャッチ、編隊飛行、
長距離、など鳥たちの競技会ができそう。
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遭難先は巨大なカメ

文章はなく、まるで画集をみているかのように一場面一場面に
魅入ってしまう絵本です。出版社の紹介文にもある通り、見る人
それぞれに物語を読み取ることができるでしょう。

ちなみに私は巨大なカメが地球に見えました。そして親子の
遭難者は我々人類。宇宙という海の中に住まわせていいただいて
いるちっぽけな立場という点に共通性をふと感じたり・・・

あるいは日常の喧騒を離れて海上キャンプという冒険を堪能する
といった楽しみ方も。危険な目にも遭遇しますが、カメや仲間の
魚たちといると安心感があります。

様々な想像力を喚起させるのは絵の力によるところが大きいですね。
一見すると手の込んだ水彩画にもみえますが、よくみると同じ要素が
サイズを変えて繰り返し登場するので、CGを使っているのでは。
他の作品も見たくなりました。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
【やるきを出すための方法】
今の自分は未来の自分がタイムリープして、やり損ねた
ことをリカバリーしようとしているのだと想像してみる。
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シュールな黄展反転仰天絵本 

ページをめくって皮を剥く前と後の変化をみせる形式は
いないいないばあ系の絵本ですが、内容はかなりシュール。

表紙のこれ、どうみてもバナナでしょ。色といい形といい。
それをおばけと言ってしまうところに独自のセンスを感じました。
意表をついたものが出現という点では「ちへいせんのみえるところ」
にも通じるものがありますが、単発ではなく中から現れたもの同士が
関わりあっていく小ネタにもニヤリとなりました。

お化けはバナナ形の他に、みかん形、さやえんどう形、たまねぎ形
など色々登場。ページをめくる期待と面白さが連続します。
時空反転的ラストもみごと。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
古本で入手した月刊絵本(すばる書房)にて黒姫絵本の学校の
レポートを読む。もう40年以上も昔の合宿制の集中絵本講座で
創作絵本が盛上がり始めた頃の熱気が伝わってきました。
イベントはもうないですが、黒姫にはいつか行ってみたい。

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中身はイカに

前作の「かける」はソースやスパイスをかけることで料理が
完成する様子が描かれていたので、同じような構成だと油断し
ていたら意表をつかれました。ビフォーアフターのアフター
のほうである完成品が先に登場して、ページをめくると元の
食材が判明するという、謎解き風の味付けだったのですね。

共通しているのは料理の魅力を徹底的に追求しているところ。
美味しそうな見た目はもちろん、揚げ物ならではの擬音や
食材にちなんだキャチコピー風の文章が見事です。

しかし揚げ物だけでも色々なバリエーションがあるものですね。
見開きいっぱいに実物の何倍も大きい料理が登場したり、
同じ調理法でも衣の着き方が中身によって微妙に描き分けて
いたりと、変化に富んでます。最後はとんでもない物まで
揚げちゃってますね。しかも単なるオチではなく、ちゃんと
絵本のテーマに関連させているところに果てしない
こだわりを見て取れました。

唯一残念なのは、この本が食べれないこと。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
ちなみに昨日の夕食の料理法は「やく」でした。
職場の先輩の退職送別会は屋上バーベキュー。
お人柄によるものか料理も天気も演出もバラエティに
富んだものとなりました。

 
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眠る前のひとときにおすすめ

文章がなく、モノクロ+黄色の画面で展開されるファンタジックな絵本。
まるでサイレント映画のようなノスタルジックな雰囲気も感じられ、
ページをめくる度に見入ってしまう絵は画集としても鑑賞できるほどです。

実を言うと、表紙をみたとき、動物に何かを組合せたファンシーグッズ風の
キャラかと勝手に思い込んでました。片足立ちで両手をひろげたポーズも
わざとらしく見えたので。しかし・・・そんな単純なものではなかった。
冒頭のドラマチックな登場シーンで納得。余計な説明がない分
感覚的にたんぽぽライオンの由来や心情が伝わってきました。
読む側の想いが画面の中に投影されるとも言えるので、その時の
心境によって受け止め方が変わるかもしれません。

儚い綿毛が飛び立つシーンから、もうすこし夢を信じ続けて
みようと思いました。

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参院選のシーズンということもあり、風にのる綿毛の
ひとつひとつが有権者の一票一票にみえてしまった。
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長いフリと二段オチ

長い物をたどると先端に何があるのか判明するという系統の
絵本と受け止めました。本作にてたどるのはヘビで、しかも
尻尾からですから、当然ながら最後はヘビの頭に出くわすはず。
などという予想通りになるか、その上を行く結末に出会うかは
見てのお楽しみということで。
先へ先へ進むにつれ、細長い緑色のヘビには様々な動物たちが
関わってきます。縄跳びしたり、木にかけてブランコにしたりと
完全に遊び道具にされてますが・・・そんなことしていいの?

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今週、とある方の対応が原因で寝付けない夜があり、
眠るのを放棄して夜明け前に一仕事を片付けてしまった。
まあ、これはこれで良かったことにしよう。
怒りを活動力に変換したのは久々。

  
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