かたあしの母すずめ：大島 妙子／椋 鳩十：理論社

絶望を知らぬ強さ

茅葺屋根の軒先に巣作りしたスズメの生き様を描いた作品なんですが、
それを見守る「私」の視点にじんわりと共感しました。
生まれてすぐに片足を失ったとしても、自分の巣の卵だけヘビに
食われてしまったとしても、作り直した巣が人煙で住めなくなっても、
諦めずに生き続けるスズメのなんと強いことか。

これ人間で言うと、事故で体の一部を失い、留守中に赤ちゃんを
凶悪犯に襲われて失い、心機一転で新築した自宅を天災で
失ってしまう、なんてことに相当しますよね。
こりゃさすがに打ちのめされるでしょう。

強さとは、体が大きく腕力に勝るとか牙や毒などの武器を
持っているといった弱肉強食的なものだけではない。
普段は目に見えなくても、逆境に遭遇したときに
明らかになる強さってある。そんな強さを秘めておける
よう日々を生きていきたいと思う。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
ところで父スズメは何してんだ？