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本の形態をした何か

本書は、文芸書のコーナにひっそりと挟まっていた。
気をつけないと見過ごしてしまいそうなくらい小さな
サイズながら、金色のタイトル文字が目を引いた。
棚から本を抜き出すとき、ふと子どもの頃に樹から
クワガタムシを掴み取ったことを思い出す。

本書の存在を知ったのは書籍を特集する雑誌の
バックナンバーにて。本に擬態した本、という装丁
コンセプトが気になり、機会があったら実物に
触れたいと思っていたのですが、よく利用する図書館
には入荷されずそのままになっていました。

再び本書のことが頭に浮かんだのは月一で参加している
朗読会に持っていく作品を探していたとき。8月の選書
テーマが「こだわり」で、装丁コンセプトにこだわりを
感じていた本書の購入に至ったというわけです。

実物を手にすると、確かに通常ではやらないような
奇妙なデザインが施されていました。一応、本らしい
構成要素はあるものの本来の役割を成していない。
無地の帯や、本編の途中に脈絡を無視して現れる挿絵。
新書なのに外国の古書の佇まいなど。これが擬態感か。

もちろん収録されている6つの短編は擬態ではない。
ちゃんとストーリがある。どれも何かしら読書が
絡んでくる話なので本好きの僕は一気に読んでしまった。
さて、朗読会ではどこを読もうか。これを考えるのも
楽しみのひとつなのである。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
時節柄、怪談めいた「本の幽霊」か。
長さとしては「砂嘴の図書館」がちょうどいいし、
物語として楽しめたのは「ふゆのほん」。。
読書会受けしそうなのは「縦結びのほどきかた」。。。
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