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どんどんしっぽ

2006/03/13 Mon 23:19

どんどんしっぽ (あかね・新えほんシリーズ)どんどんしっぽ (あかね・新えほんシリーズ)
(2005/12)
竹内 通雅

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ナンセンスに徹するのは難しい

かつて「黄色と黒は勇気の印~」なんてCMソングがありましたが、
勝手ながら、絵本の世界においては
「ピンクの空はナンセンスな展開の印」と決めさせていただく。
お前は絵本のルールブックか!と突っ込まれそうだが、ちゃんと理由はある。

ピンクの空で思い浮かぶのは、長新太の一連の作品群だ。
現実にはありえない色彩だが、これは「これからナンセンスな展開がはじまるゾ」
という暗黙の了解として受け止めており、少なくともボクの中では
一般化したいと思ってしまうほど、強烈な意味をもっているのである。

さて、本作だが、表紙をみてもわかるようにマトモな話しでないことは明らか。
しかも冒頭の舞台は、ピンクの空ときた! 作者は意識的に描いたのか無意識的に
描いたのかしらないが、この空は長さんの作品の空へつながっていると感じた。

確かに、たぬきのしっぽが、いきなりしゃべり出し、食事まで横取りしてしまう
という始まり方は、なにか期待を膨らませるものがあった。
しかし、話しの展開は、完全にナンセンスな方向へ向かうわけでもなく、
しっぽの暴走的行動を含めた世界観が、完全にコントロールしきれてない。

無理矢理奇抜な展開にしようとして、最後はどうしていいか解らなくなり、
なんとなく心温まる方向へもっていったという印象です。

絵本的には、しっぽが紆余屈曲を経て、もとの鞘へおさまるというオーソドックスな
構成の中でも、色々と遊べたのになあと思いました。
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