鹿よおれの兄弟よ
2006/03/04 Sat 23:29
![]() | 鹿よおれの兄弟よ (世界傑作絵本シリーズ) (2004/01/01) 神沢 利子 商品詳細を見る |
これが大自然に暮らす者の世界観か!
ときどき、今の生活を全て放り投げ、どこかへ出かけたくなるときがある。
見知らぬ大地で自然に囲まれ、生きるということを純粋に満喫できたらなあ
なんて想像するのだ。
しかし、現実的にそれは叶わないし、実現してもそれはそれで大変なことも解る。
そんな気分のときに、この本はちょうどよい刺激と安らぎをボクに与えてくれる。
シベリアの大自然を舞台に、一人の猟師の一日が描かれている。
一頭の鹿を狩るために、小舟をこいで森の奥へ奥へと川を上る。
途中、魚や鴨に出会ったり、幼少時の思い出を回想したりする。
音の表現が独特で、美しい絵と共に異国の澄んだ空気が伝わってくる。
プサル プサル は魚のはねる水の音で
パトフ パトフ は鴨のとびたつ羽音といった調子だ。
猟師は、やがて家族の血や肉となる鹿を、兄弟とまで言い切る。
都会に暮らすと忘れがちな、自然への畏敬と感謝の念を実感させてくれた作品だ。
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