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いちじくの胡散臭さがクセになる

お話に飢えている方がいらっしゃったら、ぜひこの作品を
手にとり、いちじくのおはなしかいに参加されたし。
舞台となるのは、前作「たまごのおはなし」同様に意識が
覚醒した食べ物たちのシュールな世界。
キッチンの住人たちをも夢中にさせたお話は、怪物退治や
お宝をめぐる海賊との対決などなど。スリルの中にも
どこか抜けたところがあって奇妙な味わいを出してます。

信じたくなるほどリアリティのあるホラ話なんですが、
その意味では、本作自体がそうなんですよね。
食べ物たち表情や人間の心理を模したセリフなどが
妙に生々しい。描かれている事は我々の住む世界
とたいして違わないのでは。

それはそうと、いちじくが出入りするカゴの中が怪しい。
オレンジやレモンがちらりと見えるので。語り部のいちじく
とは別に、脚本や小道具係等の裏方としてお話会に
からんでいるような気がしてならない。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
蔦屋書店熊本三年坂の本屋ni本屋へ。
本屋の中に本屋があるという二日間のイベント。
熊本の歌人くろだたけしさんにお会いし、
歌集「踊れ始祖鳥」にサインもしていただきました。

 
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食物連鎖が逆回転

蜂を起点に>かえる>へび>ハゲタカ さらにさらにと
ページをめくるごとに食物連鎖の上位者が登場。
皆がしめしめと舌なめずりをしつつ自分も狙われている
事に気づかないという一触即発状態に。しかし最強キャラが
行動に出たとたん、ドミノ倒しのごとく、あれよあれよと
流れが逆転。最後に飯にありつけたのは誰?

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
男子バレーの後でチャンネルをかえたら、たまたまやってた
ドラマ「ノンレムの窓」。1話目のレジ待ちショートドラマの
成り行きが気になってしまい、2話目3話目と結局最後まで
みてしまった。バカリズムはいいなぁ。
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■の生態まで描かれる

前作「どっとこどうぶつえん」の虫バーションです。
それが何かわかったときに、パズルが解けたかのような
快感を味わえますよ。なんといっても見せ方が
秀逸です。前のページの虫が次のページの伏線になって
いたり、配色との合わせ技で、たんなる市松模様でさえ、
◯◯虫に見えてしまう。究極は最小単位の正方形「■」 
これが他の要素との関連で足や頭が見えたり、
飛んでいるように見えたりするのですから。
ページをめくる度に想像力のツボが刺激されました。

つぎは「どっとこすいぞくかん」もお願いします!

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
AIにも似たようなものができるのだろうか?
掛け算や足し算的な描画は得意そうだけど、
単なる■を何かにみたてるのは困難かも。

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自分の絵を描きたくなります

元々は独立した一編の詩だったのですが、あたかも
最初から絵本化を前提としていたかのような、
言葉と絵の融合が見事です。

谷川さんの言葉によって、一本の線から始まった
絵を描くという行為が次々に進行していく様子が描かれ、
それを長さんが色や形をもった言葉として見せてくれる。

詩は画面に左から右へ一列でつづられ、それに寄り添う
絵も横へと展開。ページをめくるごとに流れていく世界は
言葉と絵による音楽のようでもありました。

これは神による天地創造を表現したのか? それとも人類の
歴史を俯瞰したようにも受け止められるし、一人の人生を
追っているかのようにも感じられる。色々な解釈を内包
させながらも、最後は絵を描く個人の視点に着地させ、
読者いる世界へと、しっかりつなげられました。

その証拠もちゃんとあります。
本書は図書館で借りたのですが、ページを開いた
ときクレヨンの残り香がしたのです。この絵本に誘発されて、
思わず画用紙に向かった子どもの姿が見えました。
一本の線は画面の外にも伸びていったのですね。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
今日は長さんの命日。今年も無事レビューできました。
昨日は佐賀の音楽と絵本の読み語りグループSORAさんの
イベントに参加し、夜は近所の書店で開催された読書会で
本書を紹介。今日は福岡で開催中の警固塾展の最終日に
向かう予定。絵本濃度の高い週末を楽しんでます。
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悲しみを抱きとめてくれる絵本 

ママを失った男の子がゴリラとの出会いを通して
自分の気持ちと向き合う、情感あふれる作品です。

青い大きな腕が印象的なゴリラ。家に居るときも
学校へ行くときもいっしょに寄り添ってくれます。

「みんな しぬの?」「ママは どこにいったの?」
男の子の問いかけに、真摯に答えてくれるゴリラ。
ふたりの会話が中心ですが、間接的に
パパの心情も伝わってきました。パパはパパなりに
心の空白を受け止めようとしていたのですね。
男の子とパパがお互いを通してママの存在を感じ
取るシーンに胸がじわりと暖かくなりました。

さりげないですが、画面の隅に現れる赤い小鳥。
二人を気に掛けるママの姿なのかな?
画面全体から心情が伝わってくる水彩画も
素敵です。あふれる涙で描かれかのようで。

ーーーーーー【Review for Review】ーーーーーー
最近は以前のように絵本のレビューを書いてませんが、
6月11日は個人的に特別な想いがあり、あえて
この作品をとりあげさせていただきました。
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